「邪教・幸福の科学」の正体

30年の活動信者。退会後のカルトを語る。

幸福の科学にも神託結婚 天上界が計画した?二つの結婚

「邪教・幸福の科学」の正体 - 虚業教団

第2章「神」は結婚を命じ給うのか?

幸福の科学にもあった神託結婚》

 

女優の桜田淳子や、スポーツタレントの山崎浩子らが参加し、マスコミの注目を浴びた統一教会(世界統一神霊教会)の合同結婚式

何千人もの男女が集まり、教祖の祝福を受けるあの式に、世間があんなに激しい反発を示したのはなぜだろう。

愛情と尊敬で結ばれるべき生涯の伴侶が、教祖の指示ひとつで決められる。

そこに不自然なもの、人間の尊厳を否定するものがあるのを多くの人が感じたからに違いない。

統一教会のそれと似たものが、じつは〈幸福の科学〉にもあったと言えば驚く人が多いだろう。

新しい会員は「まさか」と思うかもしれない。

しかし何組かの男女が、大川隆法の「これは高級霊からの指示である」という言葉によって、結婚させられたのは紛れもない事実である。

古参幹部を除くと会員にもほとんど知られていない〔神託結婚〕の実態をここでお話ししてみたいと思う。

忘れもしない1987年12月のことである〈幸福の科学〉の2年目にあたるその年は、非常に有意義な一年だった。

後援会とセミナーが各地で開かれ、会員も増えた。

前年の10月に中原の自宅を改築して開いた六畳の事務所がもう手狭になり、5月には荻窪松庵三丁目にある新築ビルの地下へ移転している。

広さはそれまでの六倍。

ボランティアの会員も、活躍の場所をやっと得て大喜びで働いていた。

ついでながら、移転に要した敷金500万円は中原に頼まれて私が用立てた。

誤解のないよう言っておくと、この500万円は後に全額返済してもらっている。

こういう面では、大川はきっちりケジメをつける人だった。

その年も終わりに近づいた12月26日、この日はちょうど、中原幸枝のヨガ教室主催による四週間瞑想セミナーの最終日にあたっていた。

最後を飾るべく中原は、特別講師に大川隆法を招いた。

このことからも初期の〈幸福の科学〉が中原のヨガ教室と半ば一体だったことがわかる。

「セミナーの終わりに、直接大川先生のご指導がいただけるみなさまは、ほんとうに幸せです。

みなさまは、人生のクリスマス・プレゼントを今夜いただけるのです」

中原から開会の挨拶を促された私は参加者を前にそんな話をした。

人生のプレゼント。

いま思い出すと悔恨たるものがある。

この夜は大川の誘導で、自分が金の仏像になり体から金色の光を放つところをイメージしたり、体から意識を抜いて拡大させる瞑想などをおこなったと記憶している。

当時の〈幸福の科学〉は中原の影響もあってか瞑想が大きなウエートを占めていた。

大川の講演中、彼女と私はいつものように特別席に並んで腰かけていた。

その日にかぎって、中原が妙に私を意識しているらしいのが気になった。

今までは、一度もそんなことはなかった。

互いに異性を意識せず、兄と妹のように仲良くやってきた二人である。

(きょうの中原は少しヘンだな。何かあったのだろうか)

何があったかは、セミナー終了後に明らかになった

「今日は私からちょっとお話がありますから、一緒に食事しましょう。吉祥寺に場所を 予約してあります」

セミナーが終わって、声をかけてきたのは大川だった。

「双葉」という古い料亭へ案内された。

大川と私、そして中原の三人である。

部屋に通された私たちは、料理をいただきながら、今日のセミナーのできばえや、瞑想の反応状態について話し合った。

そこまでは、いつもと何ら変わったものはなかった。

途中で急に大川が話題を変えた。

「関谷さん、じつは私、結婚することにしたんです」

意外な話に、私はびっくりした。

崩していた膝を思わず直してお祝いを言った。

「イヤ、それはそれは。

ほんとうに おめでとうございます。

会の流れからしても、今が一番いいときだと思います。

これで、会もしっかり根をおろします。

ほんとうに、よかった。

でも、お相手は誰なんでしょう。

私には見当もつきませんが」

「アハハ。誰だと思いますか」

私は一瞬、中原ではないのかと思った。

彼女の名誉のために言っておかなくてはならないが、二人が特別な関係だったということではない。

大川のまわりには、とにかく女っ気が少なく、結婚に対する憧れを しばしば ほのめかした主宰先生だが、それらしき女性は見あたらない。

縁談があるとも聞いていない。

その場にいた中原を、とっさに思っただけのことである。

「関谷さんは、たぶん知りませんよ。あの方はボランティアですから」

返答に困っている私に、中原が助け船を出してくれた。

「じつは木村恭子さんという会員です。これは神示が下っての神託結婚なのです」

名前を聞いても、私には顔も浮かばなかった。

それより私には〔神託結婚〕という耳慣れない言葉が異様に響いた。

大川先生ほどの人になると、やはり結婚にも高級霊からの指導があるのか……。

「もうすぐ東大を卒業される、素晴らしく優秀なお嫁さんですよ」

それが現在、主宰夫人となっている大川恭子のことを聞いた最初である。

彼女の登場で〈幸福の科学〉は、またひとつ大きな転機を迎えることになる。

しかしそれが会を変貌させ、空虚なものにしていくことになろうとは、中原や私はもとより、大川自身も知らなかったことである。

だが「双葉」での話はこれだけでは終わらなかった。

 

《天上界が計画した? 二つの結婚》

 

「それでこの際、関谷さんにも結婚していただくことになりました」

まるで事務処理を指示するような調子で、大川隆法が言った。

思わず自分の耳を疑った。

大川が結婚するのはいい。

相手が誰でも、先生と呼ぶ人の結婚を私は心から祝福するだろう。

しかし、なぜ私が……。

妻と五年間も別居しているとはいえ、まだ夫婦である。

その私に結婚せよという大川の言葉は冗談としか思えなかった。

不思議なことに、大川とあれほど身近に接していながら、大川との個人的な会話はあまり私の記憶に残っていない。

人の心に感動を呼び起こすもの、鮮烈な印象を残すものが少なかったように思う。

しかし、このときの話は さすがに今でもハッキリと覚えている。

記憶に従って、できるだけ忠実に再現してみよう。

「先生、何をおっしゃいます。第一、私には相手がいませんし、そんな段階ではありません」

「いや、それがちゃんと決ったんです。

天上界の(高橋)信次先生からの通信です。

これはもう明日入籍していただきます。

お正月には新婚旅行に行っていただくことになっています」

「ハハハ……。なんだ、冗談ですか。先生も悪趣味ですね。でも先生が結婚されるのは ほんとうでしょうね」

「とんでもない。これは神託結婚です。天上界の計画通りにしていただきます」

言うべき言葉が見つからなかった。

「関谷さんのお相手は、もう決まっているんです」

「どんなふうに決定しているんですか。どこにそんな人がいるんですか」

「はい、ここにいますよ。ほら!」

大川のこの声を待っていたように、中原幸枝がバッと畳に手をついた。

「関谷さん、よろしくお願いします」

「エッ!アレ!……そ、そりゃあない……」

このように書けば、一場の喜劇でしかない。

ドタバタ喜劇のおかしさは、人間の尊厳というものを踏みにじるところに生まれる。

だからピエロたちの演技はどこか悲しい。

「よろしくお願いします」と手をついた中原の心中はどうだったろう。

世俗的な幸せを捨て、ひたすら道を求めてきた中原の生き方は、このとき完膚なきまでに踏みにじられたのではなかったか。

彼女はどんな気持ちで、私に手をついたのだろう。

その気持ちを、私はいまだに聞きえずにいる。

しかし大川に心酔していた中原は、私との結婚について、一分の疑念も持っていないようだった。

大川は私の説得にかかった。

思いどおり事が運ばないときは、相手を押さえつけるような、威圧的な口調になるのが彼の流儀だった。

「関谷さんは二度目の結婚になります。

あまり自分勝手は許されません。

それに中原さんは、過去に何度も転生しながら、一度も結婚したことがない。

今回始めて神示により、関谷さんと結婚することになりました」

「………………」

「私たちは何度生まれ変わっても、今ほど重大な時代に生まれることはできません。

神のご意志に従ってください。

私たちはみんな自分の使命を果たさなければなりません」

神の意志、使命。

それを言われると、私には抗弁のしようがなかった。

「この幸福の科学は、今、そのための基礎造りの段階です。

私も神のご意志に従って、よく知らない人と結婚します。

この際、関谷さんも己を捨てて、会の土台造りに身をあずけていただけませんか……

それとも中原さんではダメですか。

中原さんは昨日一秒でOKを出したんですヨ」

私はそういう目で中原を見たことはなかったが、一般的な見方をすれば、彼女はたぶん とても品のある美人である。

妹のような存在としか思ったことはないけれど、どうして中原でダメなことがあるだろう。

(だが)

と私は思った(精神世界の探究に身を捧げている尼さんのような彼女が、本気で私などを受け入れるはずがない)

そう思って中原を見ると、彼女はこちらを向いて正座し、両手を膝に置いたまま私の返事を待っている。

その表情には何の不安もなく、私から「OK」の返事が当然くるものと確信しているらしい。

このとき私の脳裏に走ったのは、セックスなき不自然なカップルだった。

私を含めて男とセックスなどできる中原とは、到底思えなかった。

としたら聖職者同士の夫婦生活である。

この私にそんな生活が可能だろうか。

まだ残している問題もあるし……

さまざまな思いがわいてきて、頭が混乱してしまった。

(ええい、ままよ。人生は所詮ドラマじゃないか)と私は心の中でつぶやいた。

(天上界の信次先生のご指示だというなら、それもよし。

私もそろそろ、そんな禁欲生活に入っていい頃かもしれない。

そのために今までの恵まれた生活があったんだろう)

もう一度中原に目をやった。

即座の返事を求めるように真っ直ぐに私を見ている。

「よろしく、お願いします」

ひとりでに口から出ていた。

中原と私は両手をついて頭を下げあった。

それを受けて大川がしゃべった言葉を、私は今もハッキリ思い出すことができる。

「よかった。

何しろ神理を説くトップの私だけの結婚となると、会員からいろんなことを言われそうで困っていたんですよ。

しかし中原さんと関谷さんが結婚するとなれば、意外性ということで話題になり、私のほうの話は半減されて助かります」

いまなら中原と私の結婚を煙幕にするつもりなのかと言うこともできる。

だがそのときは(おかしなことを言うな)と感じただけだった。

それも心の片隅で…

統一教会合同結婚式の後、親族やキリスト教関係者に説得されて結婚を破棄した山崎浩子が記者会見で「マインド・コントロール」という言葉を使った。

宗教団体という特殊な世界にいると、正常な判断力が麻痺する。

神との仲介者である教祖が信者の心をいとも簡単に支配してしまう。

そんな状態を「マインド・コントロール」と彼女は呼んだのだろう。

しかし支配される心は、支配されることを望んでいるのである。

自分のすべてを理解し、行くべき道を指し示してくれる存在を心の底で求めている。

中原や私にも、その思いがなかったとは言えない。

「お互いの仲人をやりませんか。

それで、どちらも貸し借りなしのオアイコということにしましょう」

私の都合などまるで無視して、嬉しそうに大川が言った。

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